札幌市と北広島市を結ぶ約20kmのサイクリングロードがある。地下鉄駅から程近いものの、広がる風景色はなんとも穏やか。春の桜並木から緑香る夏、紅葉の季節まで、サイクリングや犬の散歩などを楽しむ多くの人が行き交い、地域で親しまれている。

そんな自然豊かな通りに面しているのが通称“JB”。ハンドドリップコーヒーとエスプレッソ、そしてオリジナルのソフトクリームが味わえ、緑が多く近くには商業施設も点在し、休憩にもうってつけ。

訪れたのは仕事帰りの夕暮れどき。一面の窓から眺める葉漏れ陽が次第に影となり、空が薄桃色に染まりはじめたマジックアワー。マグカップを片手に、ぼんやり群青に包まれていく様子を眺めながら、ふと空を見たのはいつぶりだろうか。気がつけばすっかり暗くなった辺りを、ヘッドライトが照らしていた。

JBは「10代の若者にも本当に美味しいコーヒーを飲んでもらいたい」そんな想いから、《MORIHICO.》のセカンドブランドとして登場した。カジュアルでありながら、あくまでもハイクオリティ。「フレーバーコーヒーのような安っぽい香りや風味ではなく、豆本来の芳醇で豊かな味を感じてもらいたい」そんな《MORIHICO.》の願いが込められている。

「最初はみんなコーヒーにミルクや砂糖を入れていたはずだから」と、やわらかな苦味のブラックコーヒーを口に含み、濃厚なソフトクリームをひと口。交互に口に運ぶことでまろやかに溶け合い、コーヒー初心者にも気軽に味わってもらう趣向。そうしているうちに、突然ブラックコーヒーそのものの美味しさに目覚める時がある。それがきっとコーヒーから愛された瞬間。もう後には引き返せない、大人への入口。

もちろん店内で味わうこともできるが、店の前にはベンチもあって、晴れた日には気軽なコーヒースタンドとしても利用ができる。自慢のカスタムバイクを眺めながらの一杯は、なんという至福のときであろうか。